太陽と情熱のワイン紀行 — スペインワインの「本当の顔」を探る旅
¡Salud!(サルー!)— まずは、陽気な乾杯から始めよう
「スペインワイン」と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?
太陽の下で楽しむ、安くて美味しい、陽気なワイン? もちろん、それも一つの真実です。
しかし、そのイメージの奥には、古代ローマから続く壮大な歴史、フィロキセラの災禍を生き延びた奇跡の古木、そして「安かろう悪かろう」という古い常識を覆した、情熱的な造り手たちの物語が隠されています。
さあ、グラスを片手に、スペインワインの「本当の顔」を探る、情熱的な旅に出かけましょう!
【第一章】スペインワインの品質保証 — 「D.O.」って、一体なんだ?
信頼の証、原産地呼称制度
フランスのAOC(原産地統制呼称)と同じく、スペインにもワインの品質を守るための厳格な法律「原産地呼称制度(Denominación de Origen)」、略して「D.O.」が存在します。これは、国が「この土地で、決められたブドウ品種と製法で造られた、高品質なワインです」と保証する、信頼の証なのです。
ピラミッドの頂点を目指して
スペインのワイン法は、日常的なテーブルワインから始まり、D.O.、そして更に厳しい基準(熟成期間など)をクリアしたD.O.Ca.(特選原産地呼称)、さらには単一の畑だけに認められる最高位V.P.(ビノ・デ・パゴ)へと続くピラミッド構造になっています。このピラミッドを知ることは、ワイン選びの確かな指標となります。
・V.P. (Vino de Pago / ヴィノ・デ・パゴ):
単一の畑にのみ与えられる最高位。
・D.O.Ca. (Denominación de Origen Calificada / デノミナシオン・デ・オリヘン・カリフィカーダ):
特に優れたD.O.のみが昇格できる特選原産地呼称。現在リオハとプリオラートの2つのみ。
・D.O. (Denominación de Origen / デノミナシオン・デ・オリヘン):
国が認めた高品質ワイン。スペイン全土に70近く存在します。
・V.C. (Vino de Calidad con Indicación Geográfica / ヴィノ・デ・カリダ・コン・インディカシオン・ヘオグラフィカ):
D.O.への昇格を目指す産地。
・V.T. (Vino de la Tierra / ヴィノ・デ・ラ・ティエラ):
地方名を表示できるワイン。
・Vino de Mesa (ヴィノ・デ・メサ):
テーブルワイン。
D.O.トロの位置づけ
私たちが扱う「D.O.トロ」は、D.O.Ca.にこそ認定されていないものの、その歴史の古さとポテンシャルの高さから、リオハやリベラ・デル・ドゥエロと並び、スペインで最も重要なD.O.の一つとして世界に認知されています。
【第二章】旧世界の魂に、新世界の情熱 — スペインワインのユニークな立ち位置
結論から言うと、スペインは正真正銘の「旧世界(オールドワールド)」
ワインの世界は、ヨーロッパの伝統的な産地を「旧世界」、それ以外の国々を「新世界(ニューワールド)」と呼びます。紀元前からワイン造りの歴史を持つスペインは、フランスやイタリアと並ぶ、旧世界の代表格です。
では、なぜ「新世界」のように感じるのか?
それは、スペインワインが辿った、劇的な「品質革命」の歴史に理由があります。
長らく国内消費向けの安価なワインが主流でしたが、1980年代以降、新世代の造り手たちが伝統的な畑のポテンシャルを再発見。最新の醸造技術を取り入れ、次々と世界を驚かせる高品質なワインを生み出し始めたのです。このダイナミックな進化が、まるで新世界のような「革新性」や「勢い」を感じさせるのです。
歴史の深みと、現代的な感性の融合
つまり、スペインワインの最大の魅力は、旧世界ならではの歴史やテロワールの深みと、新世界のような自由な発想や情熱が融合している点にあります。これこそが、他の国にはない、スペインワインだけのユニークな立ち位置なのです。
【第三章】「安くて陽気」はもう古い? — スペインワイン革命の真実
イメージの裏側にある、最高峰の世界
「スペインワインは安い」というイメージは、もう過去のもの。実はスペインには、世界中のコレクターが探し求める、数々の高級ワインが存在します。
例えば、「ベガ・シシリア」や「ピングス」は、1本数十万円で取引されることもある、スペインが世界に誇る最高峰のワインです。
世界が認める品質
また、スペインワインの品質は、世界的なワイン評論家からも高く評価されています。
特に、スペインで最も権威あるワインガイド「ギア・ペニン(Guía Peñín)」で90点以上を獲得することは、一流の証とされています。
パリピの飲み物? いいえ、人生のパートナーです!
スペイン人が陽気にワインを飲むのは、ワインが彼らの人生のあらゆるシーンに寄り添う、不可欠なパートナーだから。仲間との楽しい食事はもちろん、特別な日を祝うための、世界に誇る高級ワインも数多く存在します。Bodegas Coral Dueroのワインは、まさにその両方の顔を持つ、最高のパートナーなのです。
【第四章】日本とスペイン — 海を越えた、意外なワインの縁
ザビエルが伝えたもの
16世紀、日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエル。彼ら宣教師がミサのために持ち込んだワインが、日本人が本格的にスペインワインに出会った最初だと言われています。
2000年代、バルブームが変えた日常
そして現代。2000年代後半から2010年代にかけて、日本中に「スペインバル」のブームが巻き起こります。
ワンコインでタパスとワインを楽しめる気軽さが、当時の「安くても美味しいものを楽しみたい」という時代の気分と合致し、瞬く間に私たちの日常に浸透しました。今やスペインワインは、遠い国の珍しいお酒ではなく、私たちの日常に最も近い、親しみやすい輸入ワインの一つなのです。
そして、トロの真髄へ — Baramon Japanがこのワインを届ける理由
これまで見てきたように、スペインワインは「安くて陽気」という一言では到底語り尽くせない、奥深い歴史と情熱、そして驚くべき品質革命の世界です。しかし、その真の価値は、まだ世界に十分知られていません。
だからこそ、そこには計り知れない価値を持つ「最高の掘り出し物」が眠っているのです。
私たちが、数あるスペインワインの中から「Bodegas Coral Duero」を皆様にお届けする理由は、まさにここにあります。
彼らは、このスペインワインの「今」を象徴する存在です。
D.O.トロという最高の舞台で、フィロキセラの災禍を生き延びた奇跡の古木から、情熱と哲学をもってワインを造り出す。
伝統を敬いながら、現代の感性でその魅力を最大限に引き出す。
彼らのワインには、この旅で巡ってきたスペインワインの魅力が、すべて凝縮されています。
私たちが提供するのは「安いワイン」ではありません。
歴史と情熱が詰まった、計り知れない価値を持つ「本物のスペインワイン」なのです。
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